生きることは、闘うこと。
「私はもう完全じゃない…もう…壊れてしまった…」
繰り返し紡がれるそれは、ただただ片言で。
それこそ本当に壊れた人形のように。
「こんな不恰好な私は…もうアリスにはなれない…」
身体の一部を失くしてしまった。
お父様が下さった、せっかくの身体を。
「私は…、──」
このまま朽ちていくのか。誰にとも触れられず、ただ、ひとりで。
そうなったほうがいいと、以前なら思っていたかもしれない。
彼に会うまでは。
この世界でのミーディアムである彼──ジュンに会うまでは。
壊れた身体。失くした右腕。
探して見つけ出してきてくれたのは、貴方だった…──
「なぁ真紅。今日のおまえ何か変だぞ。雛苺や翠星石があんなに暴れてんのに文句も言わないなんて。」
「まぁ、たまにはこういう日も悪くないんじゃないかしら」
そう。穏やかに過ぎていく時間。それは、ずっと願ってきたこと。
いつか始まってしまう終焉の時を迎えるその時までの…ほんの束の間の休息。
にぎやかで騒がしい日々が楽しい。温度差のある紅茶を嗜むことが嬉しい。
そして…──
「──ジュン?」
「ほら、紅茶!今日だけは特別だからな」
「……」
貴方と居る現在(いま)が、とても愛しい。
「ありがとう…ジュン」
穏やかな午後。貴方と過ごす時間。
それはなんて やさしい───…
Fin
きみを守りたい、十の御題より A貴方が私を救ってくれた
元拍手文に使用。
不器用ながらのやさしさにお互い惹かれていくふたりが好きです。