キリキリと錆びた音とともに、ネジが巻かれる。
重い身体をぎこちなく動かし、ゆっくりと、閉じていた瞼を開く。

そこにあったのは、鏡。
否、そこにいたのは、鏡に映った自分そっくりの、もう一つの顔。

鏡写しのような瓜二つの顔が、そこには在った。

自分と同じ色の…ちょっと長い髪をした、小さな少女。
色合いが違うだけのおそろいの服を身に纏い、静かに眠るように、小さな椅子に腰掛けて。

不意に、目の前にいる少女の閉じていた瞼が、微かに動く。
長い睫毛が揺れ、やがてゆっくりと、その瞳が開かれる。
重く、眠たげに、何度も瞬きを繰り返し、緩く、その両瞳を上げる。


目が、合った。


ひとりは右目が紅、左目が翠。もうひとりは右目が翠、左目が紅。
緋翠の両眸が互いの心を捉え見透かして。

最初に覚えたのは、感覚の麻痺。
頭の裏が、身体中が、痺れたように熱くなって。

理由なんて解らなかった。


ただ、目の前の少女を目に映した瞬間、僕は堕ちた。




 Fin


 きみを守りたい、十の御題より @目が合って、堕ちた


 
元拍手文に使用。
蒼×翠の初めての目覚めと出会いを仮定したお話。
翠星石と目が合った瞬間に心奪われちゃったってお話。
でもってどちらの視点からでも読めるようにしていたつもりが気がついたら蒼星石視点になってたってお話…。